ご挨拶

2013年6月7日、8日に旭川市で開催される第23回日本光線力学学会学術講演会にむけて総力で準備中です。6月初旬の旭川市は春から初夏への季節の変わり目で、新緑が深まり自然の息吹があふれかえる季節です。北海道の特徴が現れる良い季節に皆様をお迎えできることを大変嬉しく思っています。

旭川医科大学での早期肺癌に対する光線力学療法は早くから始められていて、私が卒業して呼吸器グループで診療を始めた頃すぐにPDT係として気管支鏡に照射用のファイバーを挿入し、アルゴンレーザーを照射していたことを思い出します。当時はレーザーのエネルギーが弱かったため、長時間にわたって気管支鏡を保持しなくてはならず、とても辛かった記憶があります。

PDTはフォトフリン用の照射用レーザー装置が中断するというデバイスの問題や、対象症例である早期の気管支癌の発見が減少している現状があり、普及が足踏みしているように見受けられますが、患者に優しい、優れた治療であることは変わりようがない事実です。我が国が普及に大きく貢献したPDTの利点と可能性を見つめ直すことを主題とし、「光が拓く未来の医療」というテーマにさせていただきました。

北海道には新しい治療をどうにか工夫することで、安全に広く応用しようとする研究者が多く、未だに開拓精神の旺盛な土地柄が保たれています。新しい治療法の情報交換の場である、光線力学学会の開催も今回の旭川での開催を含めて、3回目になります。日本光線力学学会が癌治療の技術向上に果たしてきた役割はとても大きく、第23回を旭川でお世話できることを心から嬉しく思っています。

第23回日本光線力学学会学術講演会では、Ohio State UniversityのPatrick Ross Jr教授と、第2回日本光線力学学会会長を務められ、パルスオキシメターを開発された中島 進先生に特別講演をお願いしております。また、シンポジウムは、「PDTの適応拡大」、「Photodynamic Antimicrobial Chemo therapy-(PACT)の開発 」、「細菌、ウイルスに 対するPDTの研究成果」の3題を計画しています。

旭川市は人口が約35万人で、大雪山国立公園に隣接している北海道第2の都市です。 また、日帰りは厳しいのですが、北には利尻礼文サロベツ国立公園、東には阿寒国立公園、知床国立公園があり、どちらに出掛けても雄大な自然と温泉を楽しむことができます。

是非、日本光線力学学会と初夏の北海道の両方を満喫していただきたいと願っております。 未筆ではございますが、各位のますますのご発展を祈念しております。

第23回日本光線力学学会学術講演会
大会長 大崎 能伸
国立大学法人 旭川医科大学呼吸器センター教授